シームレスサービス株式会社代表取締役社長 櫻井武史専修大学法学部を卒業。 同年9月、単身でアメリカに渡り、アメリカの大学に2年間留学。アメリカのスポーツ用品を扱う会社に入社。台湾駐在を命じられる。 その後、タイ・インドネシア・フィリピンなどアジア諸国を転々と駐在する。 台湾企業の日本人法人に転職。 1988年シームレスサービス株式会社を設立。 |
What’s シームレスサービス「海外の工場の製品を日本で売るために、必要なサービスを提供する」のが僕らの会社です。 現在、中国で作ったものを日本で販売するときに、販売する会社と作る会社は、世の中にたくさんあります。しかし、中国の工場と協力し、日本で製品を売るためにメンテナンスなどの必要なサービスを売る会社が、あまりありません。そうなると、中国の工場が独自で、日本の製品を販売するために製品を作りすぐに壊れてしまい、日本から撤退していくブランドばかりになってしまいます。
しかし今の時代、MADE IN CHINAではない製品を探す方が難しいです。だとしたら、MADE IN CHINAにお世話になりながら、向こうに日本の品質も教えつつ、やっていったほうがいいと考えています。
海外製品を日本の市場に導入する際に、「日本と海外の架け橋」になるのが僕らの会社です。ですから、コールセンターもあり、修理センターもあり、物流センターも必要ならやります。 |
志・社会的ビジョン
僕らの会社は、工場と販売会社の間に入ります。海外メーカーが自分達ではできないもの、日本人でなければできないものがあります。それを提供することが僕らのミッションです。そのために、僕らには台湾・中国との共通の理解があり、日本へのローカライズの能力とコールセンターの機能、修理センターの機能があり、諸々の機能がバリューとしてあります。それをもって僕らは最終的には、「海外の工場と、日本で製品を売る企業の両方が、本当に必要な機能を提供する会社になりたい」と考えています。これがビジョンです。
「これはこういう風に売らないとダメだと思いますよ」とこっちから言えるような会社になりたい。もしくは、「海外の工場が日本で売りたいんだったら、今の品質じゃなくて、こことここをこういう風にしなきゃダメだよ」ってところまで言えるような会社になりたいです。いま日本にはこれができる会社がありません。バイイング・パワーで「あれやれ、これやれ」と言っている会社はありますが、本当にお客さんのことを思ってやろうとしている会社はないです。だからこそ、僕らがそこを提供して、代わりにそこで評価されればいいわけです。
例えばコールセンターでも、「こいつらすごいな。ここまでやってくれるのか。」と思ってもらえるところまでやれば、仕事は増えるわけです。
「お客さんに選ばれるような存在になる」ということが、僕らの中期的な目標です。
何を学べるのか(学生に提供できるもの)
まずうちの会社で仕事をしたときに、一番に身に着くのは問題解決能力です。どんなものが来るかわからない中で、マニュアルなんかありようがない仕事です。ということは、自分のもっている引き出しが多ければ多いほど、問題解決能力はうまく回ります。
ところが今、引き出しの数を増やそうとする人が非常に少なくて、引き出しすらないのに、「自分に合う仕事は何か」と言ってしまっているのが今の学生や求職者に多いです。「私に合う仕事は何だろうか」という人ではなくて、「自分が与えられた仕事に合わせて能力を磨くことが、最終的にゴールに近い」ということを僕は教えたいです。与えられた仕事ができなければ、その人が自分で思っている「合う仕事」を誰が与えてくれますか、って僕は思います。そこを今すごく勘違いしているし、勘違いさせちゃうような社会があります。
学生が「自分に合う仕事はなんぞや」ではなく、「自分が仕事に合わせる能力を磨く」となったら、僕はとことんまでお付き合いします。
その仕事の先にある広がり
他社でも通用する、主に問題解決能力がつきます。弊社には製品に対する質問や問題などがコールセンターに寄せられます。それをもとに解決をしていくので、問題解決能力が高まります。問題解決能力はどの仕事の中でも必要な能力なので、必ず大きな力になるでしょう。
学生へ伝えたいこと・代表メッセージ「まだそんなに経験してないのに、自分に合う仕事なんて探してないで何でもやってみなよ。」というのが僕の本音です。それを一生懸命やって突き詰めていく中に、自分に合う仕事の近道があると僕は思っています。 自分はどうやって生きていきたいのかなって考えたときに、「本当にそんな生き方でいいの?」「本当にその考え方でいいの?」って自分に対しての疑問は絶えず持っていてほしい、必ず誤謬があるんじゃないかと思ってもらいたい。若ければ若いなりに、それっていつでも修正できます。若いころの1年2年失敗したってどうってことないし、100%の失敗って僕はないと思っていて、そんななかでも20%でも30%でも取れるものがあったら、それで儲けもんです。
そして、チャレンジしてほしいですね。 「大きい会社で、名前の通った会社で、そういうところに入る」と言っている時点で、もうあなたはその会社にぶら下がっています。小さい会社だろうが何だろうが、その人がいなかったら困る、という存在になるように努めることが大事です。 重量挙げのバーベルを上げている姿勢を思い浮かべてみてください。会社を持ち上げて頑張っている人なのか、同じ格好をして鉄棒にぶら下がっているのかの差です。同じ格好をしていても、バーベルを持ち上げている人は蹴落とされることはない。そういう人になってもらいたいです。小さい会社ですから、うちはやりやすいと思います。 シームレスサービス株式会社 代表取締役社長 櫻井 武史 |
インタビューを終えて・学生の感想まっすぐな想いの強さに、終始胸を打たれるインタビューでした。前職のフィリピンでの退社の際、1,500人から送別会で送り出してもらったエピソードや、インタビュー中に、「仕事が大好きだったから」と笑顔でおっしゃっている姿を見て、そのまっすぐな想いが多くの人に伝わり、そして周りからもたくさんの愛を受け取って、櫻井さんという存在がここに強くあり続けているのだと感じました。
厳しい本音の中にある優しさ、誠意が、こうして多くの人に熱意として伝わり、人の心を動かし続けていく。そのことを、身をもって体感したインタビューでした。 また、初対面の私の名前を何度も呼んでくださったり、気遣いながらお話をしてくださる様子に、こちらの心まで温まりました。このように出会った一人一人の相手を大切にしていく姿勢が、人との繋がりや、仕事の結果にも結びついているのだと思います。 (法政大学 大垣 風香) |
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